『お母さんたちの感謝の思いが詰まった手打ちそば』

岩手県山田町の里山の麓に、水車小屋が目印の白石集落があります。高齢化が深刻だった白石集落を、地域の交流スポットにして賑やかにしたいと、2011年2月に農業生産組合が立ち上がりました。

その後、東日本大震災が発生。FIDRが組合の皆さんとご縁をもったのは、2015年でした。仮設住宅への入居やその後の災害公営住宅への転居等が続く中で、住民同士の交流の場をつくる取り組みとして「そば打ち体験」を共に企画・提供しました。

2017年には、同組合の方々により「ごっとん会」が立ち上がり、2019年10月には、そば処「ごっとん茶屋」を開業。県内外の方が訪れるそば処となっています。「ごっとん会」組合長を務める、中村あづこさんからお話を聞きました。

▶当時のFIDRの活動はこちら ▶2015年のごっとん会の皆さんの活動の様子はこちら

中村あづこさん(写真一番右)


そば体験と新たな出会い

前代の組合長さんの頃から、そば打ち体験の取り組みを続けて来た白石集落農業組合の皆さん。

現在組合長を務める中村さんは、2015年11月にFIDRと一緒に行った『そば打ち体験』のことを振り返って、「それまでも集落の人たちを集めて、そば打ち体験をしたことがありましたが、その時は、町内外の人もいらっしゃっていたので、その方たちと交流を持ちながらやることができたのが、とても楽しかったです」と語ります。

震災後、FIDRを始め、山田町に外部の方が入ってきて新たなつながりができていく中で、中村さんのように山田町にずっと住んでいる方でも、知らなかった山田町の魅力に気づくきっかけになったと言います。 

「ごっとん茶屋」開業までの道のり

中村さんは、「私たちは、遊休農地を利用してそばを育てているのですが、それだけではなくて、町内外の人にも来てもらって、そばを楽しんで、体験できるようにしたいという気持ちがずっとあったのです」と語ります。それが、震災後に少しずつ形になっていきました。

中村さんたちの夢であった、町内外の方にそばを楽しんでもらえるそば処「ごっとん茶屋」が開業したのは、2019年10月でした。開業に至るまでには、さまざまな方の支えがあったといいます。

 

「私たちは、商売についても、お店を持つということについても全然わかりませんでした。なので、どんな商品を提供するのか、お店を運営する上での資金管理から勉強させてもらいました。震災以前から、大学教授等外部からの支援に入ってもらっていましたが、震災後は『山田ワンダフル体験ビューロー』の服部さんも加わってたことで、実現に向けて活動が加速しました。」

 

さらに、開業資金を集めるために中村さんたちが取り組んだのが、クラウドファンディングでした。

「クラウドファンディング自体、最初はわからなくて、まずはクラウドファンディングについて勉強させてもらいました。クラウドファンディングが『インターネットを通じていろいろな方に支援してもらうための仕組みである』と知ったこと自体も勉強でした。

 

行政の方のサポートや服部さんの情報発信により、山田町の人だけではなく、県外の方からも支援が集まりました。

実際にクラウドファンディングをやってみて、私たちを応援してくれる方がこんなにいるのだなと感じました。その想いに私たちは報いなければならないし、支援してくれた人に恩返ししなければいけないと思っています。これからもずっと、支援をして頂いたからこそ、こんな形になったと実感してもらえるように頑張らなくてはならないと感じています。」

コロナの波と再出発

たくさんの方から温かい支援を受けて、無事に開業した「ごっとん茶屋」。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、開業5カ月で休業を余儀なくされました。

「岩手県内だけでなく、県外から来てくれる方も多くいました。私たちのところからコロナを出してはいけない、そのためには、一時休業して、ちゃんと運営体制を練り直さないといけないという話を組合でしました。そして、やむなく4月からお休みさせて頂くことにしました。」

 

それから、1年。2021年4月、ようやく「ごっとん茶屋」は再開できることになりました。多くのお客様から、「いつ再開しますか」と電話を頂いたり、声をかけてもらったことが、再開する原動力になったと言います。

現在は、お店の外側にテントを張って、広く開放的な場所でそばを楽しんでもらえる場所をつくるなど、「ごっとん茶屋」の再開に向けて、中村さんたちは着々と準備を進めています。当面の間は月に2回お店を開くことを予定しています。

「早くコロナが収束して、皆さんが訪れてくださるのを楽しみにしています。」 

素材からすべてが手作りのそば御膳

住所:〒028-1361 

   岩手県下閉伊郡山田町織笠24-47-25

電話:0193-82-3111

            (内線227やまだワンダフル体験ビューロー)