山田町の“今”を発信しつづけます

スーパーの事業を通じて、町の復興を支える

　椎屋さんは震災前から山田町観光協会に在籍し、山田町の観光など情報発信をしていました。震災後は、機能が停止した町役場の代わりに、被災関連の情報をブログで発信しました。2012年の夏に観光協会から、地元企業のびはん株式会社地域連携推進室に転職。現在は同社が運営する地元スーパー2店舗の営業統括マネージャーを務めながら、様々な地域イベントを開催しています。

 　びはん（株）の強みは「長年社長を中心に行ってきた商品開発事業」だと椎屋さんはいいます。地元の食材を活かしたオリジナル商品が特徴で、ここでしか買えない商品が多く販売されています。その中でも「山田の醤油」はロングセラー商品で、現在も売り上げが伸び続けています。

　椎屋さんは「オリジナル商品は山田町の方だけでなく、旅行に来た方も買ってくださいます。ネットショップを通じて、県外の方や山田出身の方が取り寄せてくださるのは、とてもありがたいことです」といいます。

震災語り部の活動を通し、山田町の“今”を伝える

　椎屋さんは、2012年にびはん（株）に転職すると同時に、同年設立された「新生やまだ商店街協同組合」で、組合に加盟する事業者のまとめ役や各事業者のサポーターとしても運営に携わってきました。商店街のそれぞれの事業者が自分の事業を営むだけでなく、一緒に被災ガイド、語り部タクシー、語り部飲食店、復興まち歩きつまみ食いツアーなどを提供することで、山田町の魅力を発信しています。

　椎屋さんが主に担当するのは、復興まち歩きつまみ食いツアーです。「せっかく山田に来たから、震災のお話だけじゃなくて、山田の魅力も一緒に知ってほしくて、食の体験を組み合わせたツアーを提供しています。そのおかげで、多くのお客さんが来てくださっています」と語ります。

みんなで心を合わせ、町の魅力をより多くの方に届ける

　椎屋さんはこれまで多くの方と出会い、様々な仕事に携わってきました。その中でも印象に残ったのは、数年前に実施した「Yamada Bride」という企画だといいます。

　「山田町で結婚式を挙げ、三陸の幸を使った料理の提供、花嫁のドレスアップ、写真撮影、神社から山田商店街への花嫁行列まで、多くの地元の方々に協力いただいて実現しました。参加者はお互いを知らなかったのですが、皆で一緒にお祝いして、とても素敵な思い出になりました」

　現在も、山田町の住民が協力し合いながら、山田町の魅力を発信し続けています。

　「これから山田町に新しい『道の駅』ができます。新しい道の駅を山田町の入り口として、より多くのお客さんを呼びこもうと、皆で計画を立てて動いています。色々なセクターの方が一つのチームとなって運営することで、新しい道の駅が、山田の魅力の発信基地になるといいな」と明るく語ります。

　そして、商工会の若いメンバーが山田町の中心地にキャンプ場を作る計画も進んでいるそうです。陸中山田駅のすぐ前にある広い敷地にキャンプ場ができることで、よりたくさんの人が集まることが期待されています。

　「今後、新型コロナの感染拡大が落ち着いて、自由に行き来ができるようになったら、また新しい事に挑戦したいと考えています。山田は良いところなので、ぜひ来てください。一度来てもらえたら、山田の魅力をわかっていただけると思います！」

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